大人がマスクを外して笑顔のコミュニケーションを

6月後半から異常な暑さに見舞われている関東地方。立場上、コロナ感染を避けなければとそれなりの対策を心がけてきた私自身も、さすがに危険を感じて、マスクをつける時と外す時を考えて選ぶようにしています。久しぶりに外でマスクを外した時の開放感!通りがかりにすれ違う赤ちゃんを見て思わずにっこり、お母さんも反応してにっこり、なんていう場面があると、口元の表情だけで伝えられる気持ちがいっぱいあって、それを伝え合わずにこの数年過ごしてきたのだと気づかされます。

厚労省がマスク着用について基準を緩和する発表をしたのは5月半ばです。それ以来、教育現場では、熱中症を避けるために屋外での活動の時には外すことを推奨していますが、5月末ごろの運動会では、まだまだ着用したまま競技に参加する多くの子どもの姿が見られたといいます。

これまでも、学校でのマスク着用は絶対ではなく、場面や体質などに応じて外すことも可能だという方針でした。マスクが苦手なお子さんもいるので、学校でも改めての周知を求めてきました。しかし、実際のところは、子どもたちの多くが感染を心配してマスクを着用し、登下校時もマスクを着用した上で、おしゃべりをせずに静かに歩いていました。子どもたちなりに目に見えないコロナウイルスに対応しなければと、健気に頑張っていたのだと思います。

現在、学校では熱中症の危険性が高まっていることもあり、屋外では先生たちも率先してマスクを外し、子どもたちにも声かけをしているところです。しかし、子どもたちの多くはなかなか外すことができないとのこと。感染が怖い、入学してから一度も顔をちゃんと見せ合ったことがない関係の中で、顔を全部出すのが恥ずかしい、など理由は様々なようです。教育委員会が「マスクは絶対ではない」という基準を作り、先生たちが子どもに伝えても、そう言いながら先生方も保護者もほとんどがマスクをつけていたのですから、その基準はほとんど機能していなかったでしょう。大人の言動を見ながらニューノーマルに一生懸命適応してきた子どもたちに対して、改めてマスク着用は絶対でないことを伝えるには、まず大人が実践する必要があるのではないでしょうか。

今は、子どもたちの熱中症が本当に心配です。同じような高い気温が5月から続いた2019年には、校外学習から帰った直後に小学校1年生の子どもが熱中症で亡くなっています。まだマスク着用が始まる前です。大人たちがまず自分で考え、場面に適した行動を選ぶこと、自分とは異なる判断に対して尊重する姿勢を示すことが、子どもたちが安心してマスクの着脱を自分で考え、選べる環境づくりになるのだと思います。そういった意味でも、学童やユーフォーなど放課後の子どもたちの居場所においても先生たちからの働きかけと実践を求めていますし、私自身も屋外では外すようにしています。

コロナの感染リスクは人それぞれですので、コロナ対策に対する考え方についても、実に相反するさまざまなご意見を伺ってきました。マスクをつけたい人にはその理由があり、外したい人にも理由がある。そのことを尊重しながら、お互いに感染を広げないように配慮し合う、それに尽きるのではないでしょうか。大人が異なる意見を尊重し、分断を回避していれば、子どもたちも安心です。まずは、大人が屋外ではマスクを外し、にっこり笑顔のコミュニケーションを思い出すところから始めませんか?