化学物質が子どもに与える影響は非常に深刻!
大田区社会教育団体、香害ゼロプロジェクト主催のオンライン学習会に参加し、医師の角田和彦先生から化学物質の子どもへの影響についてお話を伺いました。
日本でも増加し、2012年に文化省が全体の6.5%と発表した子どもの発達障がいは、化学物質や農薬と関係があると言われています。ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物など室内で吸入する可能性がある物質、殺虫剤に使われるDDTやダイオキシン。分解されにくく、いまだに魚類を汚染し続けているPCB。いずれも母体から臍帯や母乳を介して胎児、乳児に影響を与え、アレルギーや自閉症、知的障がいの発生率を高めているそうです。(授乳をすると母親の体内に蓄積された化学物質は半減、赤ちゃんの体に移ります。男性は一生蓄積し続けるそうです。恐ろしい!)
有機リン系殺虫剤は神経系の異常な興奮や多動、注意欠如やうつ状態、アレルギーの悪化を引き起こしますが、普通の市販パンよりも学校給食パンから多く検出されているということに驚きました。残留農薬は、外国産の小麦粉を使ったパンからはすべて検出されますが、国産小麦からは検出されないということです。調布市内の公立学校の給食は自校式で、パンも手作りのため頻度は高くないのですが、国産小麦の使用を求めたいと思います。
ネオニコチノイドは「ニコチノイドに似ている」という意味で、たばこを吸っているのと似た状態になる物質です。世界各国でミツバチの大量死を引き起こし、ヨーロッパなどでは規制を強め、フランスは2018年に全面的に使用を禁止しています。一方、日本は残基準値が緩く、ネオニコチノイド系殺虫剤のアセタミプリドの残留農薬基準値は、例えばイチゴはEU0.05、米国0.6に対して日本は3.0。ぶどうはEU0.5、米国0.35に対して日本は5.0、茶葉はEU0.05に対して日本は30です。
グリホサートも海外で規制が進んでいますが、日本では多量使用が続き、2017年に残留基準が大幅に緩和されています。輸入小麦使用の食パンや原産地の記載がないものからは検出されているということですので、国産小麦使用のパンを選びたいところです。心臓病などのリスクを高めるとWHOが食品からの排除を促しているトランス脂肪酸は、日本でも使用を中止する企業が増え、その結果子どものアトピーが軽減されています。
人工香料についても、子どもの神経系の発達などに影響があるとお話がありました。特に、最近の香りが長持ちする柔軟剤はキャップ1杯に1億個含まれるというマイクロカプセルを使用しており、カプセルが弾けるたびに化学物質を吸い込むため、1日中暴露されることになります。また弾けたカプセルは8割が下水に流れ、マイクロプラスチックとなって海洋汚染を引き起こしています。(残りは衣類や掃除機などにも付着して残り、弾け続けます。)学校の給食ガウンは各家庭で洗濯をして共有しますので、配慮が必要です。生活者ネットワークでは、数年前に市内の市立および私立学校で使用している洗剤や消臭剤について調査を行いましたが、香料が含まれるものを使用している学校がありました。
2021年8月に消費者庁、文科省、厚労省、経産省、環境省が香害の周知と香リ製品の使用自粛を求める啓発ポスターを発行しています。調布市も掲示していますが、過敏症に苦しむ方々から伺う日常生活でのご苦労、苦しみは想像を絶するものがあります。さらなる啓発が必要です。所管課は生活文化スポーツ部内にありますが、福祉健康部や環境部も認識が進んでいますし、教育委員会とも連携強化が必要でしょう。引き続き香害について周知啓発を求めていきたいと思います。