調布市の2023井戸水PFAS調査結果が公表
昨年9月議会で補正予算が可決され、多摩地域26市の中でも先駆けて実現した市内公共井戸のPFAS検査の結果が公表されました。補正予算では市が管理する井戸など30ヶ所(小中学校の防災井戸と実篤記念館の湧き水)および民間井戸(希望者のみ・結果は非公表)の検査費用1300万円余が計上されていました。民間の井戸の所有者からも検査希望が数多く上がり、58ヶ所で調査が行われたようです。
市が結果を公表しているのは、市が管理する地下水30ヶ所で、地図に地点が示されています。(いずれも画像は市HPから)
数値はこのようになっています。
少し東の方で高めの数値が出ています。井戸が浅めですので、近隣に何か汚染源があるのかも知れません。数値を上げている原因の一つとして、PFOAの数値が高めであることが分かりますので、それも一つの特徴として捉えることができるかと思います。今後、これ以上汚染を広げないためにも、原因を解明する一つの手立てとしていきたいと思います。
ご注意いただきたいのは、検査対象になっている防災井戸は、災害時も飲まないことが前提となっていることです。トイレを流したり、口に入らないものを洗ったりする生活用水としての使用が前提となっています。また、これらの井戸水は、水道水の水源にはなっていません。
水道水は、上石原配水所、深大寺給水所、仙川配水所の3か所から提供されています。深大寺給水所と仙川配水所は、いずれも施設の更新工事中で使用されていませんので、この2カ所から給水されている地域には、工事が終わるまで埼玉などの別の大きな浄水場から川の水を浄化した水が運ばれています。上石原配水所は、7本ある取水井戸のうち2本からPFASが高濃度が検出されたため、その2本は使用を停止しています。いずれの浄水場から提供されている水も、浄化処理を行った後、最終的に蛇口から提供される時点ではPFAS濃度がかなり低くなるよう管理されています。
東京都水道局が公表している最新のPFAS検査結果を見てみましょう。
<原水>は井戸水(地下水)そのままの状態です。
<浄水>はそれを浄化処理したものです。(クリックするとオリジナルのPDFが開きます)
調布市のところを拡大します。深大寺と仙川は今ストップしていますので、数値がありません。上石原は、井戸5本の水をブレンドした状態で1リットルあたり7ng、5ng程度検出されていますが、浄化処理をした後、5ng未満になっています。
ちなみに、地下水を浄化したものだけでは調布市民全員に水道水を提供するにはまったく足りませんので、実際はここに川の水を浄化処理したものをたくさん混ぜます。
水道局HPの「<給水栓の推移(Excelデータ)>多摩地区 給水栓の検査結果」から調布市のデータ部分を抜き出しました。これが<給水栓>つまり、最終的に蛇口から提供されている水道水の状況です。
ご覧のように、蛇口の水は検出下限を下回る低い数値となっており、かなり厳しく管理されていることが分かります。PFASゼロを目指すアメリカが1リットルあたり4ngを基準値にしようと検討していることと比べても遜色ない数値です。
現在、全国的にもPFAS問題は米軍基地との関係を無視することができない問題であることが明らかになってきています。一方、PFASは私たちの生活の中にあふれており、私たち自身が生活の中で自然界に出してしまっているものも少なくありません。調布市は横田基地からは離れていますし、市内で検出されている数値を見ると、PFOAの数値が高い(横田基地から漏れた泡消火剤はPFOSの方が数値が高い)という特徴も見られますので、単純に基地との関係だけでなく、広い視野から問題の原因を探っていく必要があります。
東京都水道局のHPではPFASについて色々な情報を得ることができます。また、さらに詳しいこと、PFASの基本的なことについて知りたい方は出前講座も行っていますので、お声がけください。