寺脇研氏「これからの教育を考える」

5月17日、市川房枝政治参画フォーラムのプログラムの一つ、寺脇研氏の講演「これからの教育を考える」に参加しました。

一番多くのことがつめこまれ、「おちこぼれ」を生み出した1971年の指導要領。近視眼的な批判を受け、その効果を十分に検討できないまま改訂されてしまった、ゆとり教育。ゆとり教育への批判も込め、国際競争で勝ち抜き、経済成長を果たすことを目指して揺り戻しがあった次の指導要領では、かと言って量を増やすことは避け、学びたい思いを育てる工夫の一つとして、「生活科」が導入されました。(大きな反対があったそうですが、子どもたちには大好評だったそうです。息子も好きな教科です。)

そして今、最新の指導要領の目指すところは「主体的、対話的、深い学び」

…つまりゆとり教育と同じ。

ひと言で「生きる力」と言っても、変化する時代の中で求められるものは刻一刻と変化していきます。子どもたちにどんな力をつけさせてあげることが、より豊かな人生につながるのか?より良い国を作る力になるのか?その答えは、教育を受けた子どもたちが大人になり、社会の中で独り立ちしてからでなければ分かりません。(また、学校教育だけが人間を作るわけでもありません。)

今、新卒で社会に出ている人たちがゆとり教育を受けた人たちですが、学力の低下は見られないそうです。また、総合的学習や1992年施行の指導要領で始まった生活科の授業を受けた若者たちの中に、自主的に農業に携わる人が増えているそうです。教育の成果は今日、明日には得られませんが、時間をおいて社会の中に現れてきます。

教育は国作りの基盤でもあるため、そこには政治の介入もあります。時代の流れや時の政権に左右されすぎず、個人個人の権利を保障する視点で教育を進めていくには、常に憲法に立ち戻ることが必要でしょう。憲法では、すべての国民に学ぶ権利が保障されており、また学問の自由が保障されています。いつ、何を学ぶか?それを選ぶ自由が私たちには保障されているということですね。新しいことを学ぶことは楽しい!(人間には生来的にそういう欲求があると思います!)と思える。学びたい時に、だれでも学びたいことを学べる。学びたいという思いを育て、多様な学びの場所を作っていくことが、これからの課題であり、日本の教育を切り開いていく道だと思います。

寺脇さんからは、「社会の中における、子どもを取り巻く心理的基盤をつくること」「学級編成権を地方自治体に、という議論を」「教育への政治の介入にはよく目を光らせること」「これから必要なのは、AIにできない力ーつまり暗記や数学ではなく、いわゆる教養(副教科の内容、性教育、モラルの問題など)-をつけること」、その他、多くの視点をいただきました。これからの取組みに生かしていきたいと思います。

 

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