大人のための性教育

調布市内で助産院の先生をされている棚木めぐみさんのお話を伺いました。

タイトルが「大人のための性教育」ということで、正直かなりドキドキしていましたが、科学的事実に基づいたお話は、人間という生き物をちゃんと知る、というところの仕切り直しから始まりました。誰でも自分自身と重ねて、まずは自分ごととしての理解からスタートできるテーマだということに改めて気づきました。

「性」と一言で言っても、は次のようにさまざまなレベルでとらえることができるそうです。

①社会的性(後天的なもの・文化や国などの影響を受ける・唯一見える性)

②生物学的性(先天的なもの・出生時に性器で判断・母子手帳に【男・女・不明】とあるようにきっちり男女に分けられない)

③性自認(心の性・生涯を通じて変わらない人も変わる人もいる)

④性的指向(誰が好きか?)

⑤性的嗜好(どういうプレイが好きか?)

とても興味深かったのが、実は性器はきれいに男ー女に分けられないというお話です。助産師さんとしては、②の出産時に「不明」だった赤ちゃんに対して、出生届を出す時には記入欄が【男・女】しかないため、その判断を迫られることがあるそうです。

②のところですでに多様な形をとっている私たち人間が、さらに③心の中の性というレベルで分かれるので、実際には「性」に関する私たちの分類(というものがもしあるのであれば)は、こんなに多様になります。

さらに④の性的指向も加わると・・・

私たちの性を語る時、LGBTではなく、最近はSOGIという言葉が用いられます。上の図を見るとわかるように、生物学的にも性自認も男性/女性で、性的指向が他の性に向いているという人は、「・」マークがついている人たちだけです。私たちの「性」は多種多様。男・女のみに分けることがそもそも私たち人間の性を表すのには不十分だということが分かります。SOGIは、私たち一人一人の性は、実にさまざまなグラデーションを成しているもので、すべての人が関わっているもの、という認識に立った言葉です。

調布市内の小学校では、すべての子どもを「さん」で統一して呼んでいます。しかし、大人になってからも、便宜上、男・女に分けられる場面が実にたくさんあり、その中で苦しんでいる人がいます。まずは性の問題を自分のこととしてとらえ、自分を見つめなおすこと。そこからこの問題を身近に感じ、より深く知るきっかけにしていこうと思いました。

棚木さんの助産院は調布市内にあり、6月2日にもたづくりで講演会が予定されています。