オリパラ観戦についてーリスク管理と「欠席扱いにならない」について考える

小学生のオリパラ観戦に関するアンケートは、6月26日(土)23:00現在で154件の回答が集まっています。神奈川県の16市町、埼玉県内の学校の7割が観戦を中止する決定をするなど、状況は変化しつつありますが、さまざまな回答が寄せられています。アンケートは29日21:00頃まで受け付けています。

まだ途中集計ですが、回答の一部を見てみたいと思います。

まず「参加する」を選んだ65人の方の理由と内訳です。

当然のことですが、「コロナが心配」「熱中症が心配」はありません。でも、自由意見欄には18人の方からコロナ感染や熱中症を心配する声、対策の徹底を求める声が出ていました。

次に「参加しない」を選んだ30人の方の理由です。

とてもシンプルですね。選んだ理由が最大の決め手になっているようで、自由意見欄には、選んだ選択肢への追加説明が多く見られました。一方、「できることなら見させてあげたいけれど」という葛藤も見られました。

最後に、「迷っている」を選んだ59人の方の理由です。

複雑な胸の内が見えてきます。複数の選択肢を選んでいる回答者も多いです。自由意見欄で「コロナ感染リスク」「熱中症リスク」に触れた方が24名。「一生に一度のチャンス」と天秤にかけ、周りの反応を伺い、決めかねている様子がひしひしと伝わってきます。

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さて、ここで「コロナ感染・熱中症リスク管理」について考えてみました。参加を希望する人も、「万全の対策」が大前提での参加意思表明のはずです。では、具体的にどういう対策を期待しているのでしょうか?実現可能なのでしょうか。

◆徒歩で参加の学校(飛田給小、石原小、三小、調布中)は、道中に他の観戦客と接触をしないこと

<必要な情報>
・行き帰りのルート(未定)
・観戦する試合の時間帯(未定)
参照:6/28時点での各校の観戦スケジュール

・他の観戦客の動きと子どもたちとの接触の可能性
武蔵野の森スポーツプラザは収容人数7200人の半分=3600人程度、東京スタジアムは2.5万人入りますので、1万人です。これらの観客は、試合のたびに入れ替わるのでしょうか?バスを利用する人もいるでしょうけれど、多くの観客が西調布や飛田給駅⇔スタジアム間を移動します。東京スタジアムの場合、出入り口は分けられるとしても、門は2カ所しかありません。東京スタジアム前の歩道橋はどういう状況になるでしょう。
⇒小中学生以外を無観客にしない限り、接触を避けることは不可能ではないでしょうか。

◆会場や駅などへの道中、他の観戦客が飲酒をする環境がないこと
⇒規制の有無は不明または未定。都への要望が必要?

◆バス移動中に3密にならないよう、必要台数が確保できていること
確保できていると確認済み

◆他の観戦客がワクチン接種を済ませているか、事前にPCR検査を受けていること
 ⇒今からのタイミングでは、望むべくもないでしょう。

◆他の観戦客と座席が離れており、使うトイレも別であること
⇒今後の課題として教育委員会も認識。ただし実現可能かは不明。

◆体調を崩した子どもが使う医務室は小中学生専用であること
⇒今後の課題として教育委員会も認識。ただし実現可能かは不明。コロナの症状が出た場合はどうするのか?

◆海外からの観戦客に感染者がいた場合の対応
⇒同行者や同じ飛行機に乗っていた観戦客などが濃厚接触者かどうかの判断は空港で行うこと。ウガンダの選手団の場合は、感染していたコーチ以外は成田から泉佐野市まで移動してから濃厚接触者に認定され、感染が判明したが…。選手団については空港での水際対策を強化するということだが、観戦客にも100%適用されるのか?

◆観戦後に参加した子どもたちのPCR検査を行うこと
⇒未定。検討もされていないでしょうから、実施されるとなると求めていく必要があります。

どうでしょう。ちょっと心配しすぎですか?でも、これくらいのことがクリアされれば、かなり安心でしょう?ご家族のコロナ感染リスクなどによっては、これでも安心できない人もいると思います。可能なら子ども以外は無観客だとなお安全、安心です。

さて、アンケートの中で、観戦をお休みをしても欠席扱いにはならないことに触れました。ほとんどの方がご存じなかったので、情報提供できて良かったと思っています。

でも、欠席扱いにならないということがどういうことを意味しているのか、いまいちピンときていないのでは?と思われる回答がありました。例えば、「参加・不参加については学校の判断に任せる」「自由参加だと嬉しい」という感じのご意見です。少し心配になりましたので、確認をしておきたいと思います。

普通、学校教育の一貫として行われるイベント(運動会や音楽会、遠足、修学旅行など)は、出席すべき日数にカウントされますから、お休みをすれば欠席日数に入ります。でも、オリパラ観戦はお休みしても欠席にカウントされません。学校カリキュラムに組み込まれた学校行事としては位置づけられておらず(←こう言い切っていいかどうかは微妙ですが)、参加は強制ではないのです。お休みをしても構わない、自由参加のイベントなのです。(その割には年間行事に組み込まれていたりするのですが。)

つまり、すべて、子ども本人や保護者の判断と責任に任されているということです。

もちろん、教育委員会や各学校の主観に基づいた「万全の対策」「適切な対応」はします。でも、上に挙げたものをすべてクリアするわけではありません。もしそれが嫌なら、参加しないでいいのですよ、ということです。ちょっと嫌な言い方になりますが、これで、何かあっても、教育委員会や学校は責任を逃れるための言い訳が成立します。

「そうは言っても、クラスターが起きたりしたら、さすがに責任を取るでしょう?」私もそう思いたいです。そうあるべきだと思います。なぜなら、希望者のみが対象だとしても、学校から行くのです。これまで取り組んできたオリパラ教育の集大成とも言えるイベントです。学校によっては、子どもたちに現況の説明もなく、行きたいかどうかだけを尋ねる調査をしているそうです。そういうことをすればなお一層、強制力が働くわけです。コロナ感染リスクや熱中症リスクよりも、お友だちが行くかどうか、行く人が多そうか、ということだけで参加を決める人も出てくるでしょう。(アンケートからもその傾向を感じました。)子どもたちに万一のことがあれば、教育委員会や学校は責任を問われるべきです。

でも、ここで2年前の運動会の時のことが脳裏を過ぎるのです。(コチラのブログ記事で紹介しています。)最高気温34℃の中で運動会を実施。熱中症を訴えた生徒が多数出て、救急車でも搬送された子がいた。教育委員会の認識は甘かったのではないか?という追求に対して、「教育委員会としては適切な指導をした。」「救急搬送するという学校の判断は適切だった」という答弁。教育委員会として責任を感じているという答弁はひと言もありませんでした。

運動会は学校教育の一貫として行われている行事で、休めば欠席になります。それでも、「学校としてできる対策はします。でも100%ではありません。ご心配なら休んでいただいて結構です」というのが学校や教育委員会のスタンスなのです。いつの時も、子どもの安全管理について最終的に責任を問われるのは、保護者なのです。

だから、オリパラ観戦の是非については、お子さまの年齢や体質、ご家族の感染リスクなどもよく考えた上で、決めていただきたいと思います。また、コロナに関して言えば、これは感染症です。お子さまが万一感染すれば、無症状であったとしても、家庭に、地域に持ち帰ってきます。

コロナに関しては、専門家は無観客がいいよ、小中学生の観戦はやめた方がいいよと言っている状況です。(熱中症リスクについてはコチラのブログをご覧ください。)子どもたちの観戦は、学校行事ではなく自由参加です。具体的なリスク管理は未定です。

こういったことが理解された上での「参加する」でしょうか?あれ、ちょっと待って、思っていたのと違うぞ?と思った方は、改めて考えてみてくださいね。もちろん、不参加を勧めているという訳ではありません。でも今は、「友だちが行くから」「行かないと損だから」「一生に一度のチャンスだから」だけで決められる状況ではない、というのが私の考えです。

最終的には「迷っている」皆さんも「参加する」「参加しない」のいずれかに心を決めなければいけません。子どもたちの安全、ご家族、地域の安全のためにも、大きな責任が伴う判断です。決して強制力や周りの意見、子どもの思いだけに流されて決めるのではなく、ご自身で情報を集め、色々な要素を天秤にかけて決めていただきたいと思うのです。