女性を差別から守るために

市川房枝記念会2021連続講座1回目にオンライン参加し、「女性の権利を国際基準に!~個人通報制度が使えたら~」というタイトルで、女性差別撤廃条約実現アクション共同代表の朝倉むつ子さんからお話を伺いました。

2021年ジェンダー・ギャップ指数は156ヶ国中120位

総合 政治 経済 教育 健康
2021年
156か国
120位
0.652
147位
0.061
117位
0.604
92位
0.983
65位
0.973
2006年
115か国
80位 83位 80位 60位 1位

2006年から加盟国も増えていますが、日本の順位は増えた分だけ下がっており、先進国の中では依然として最下位です。指数は、0=完全不平等、1=完全平等を表していますので、総合・政治・経済で特にジェンダー・ギャップが大きいことが分かります。

女性は男性の1.5倍働かないとダメ?
講演で初めて聞いた言葉は「イコール・ペイ・デイ(EPD)」です。男性が1年働いて12月31日に手にする賃金と同額を女性が手にすることができる日を、国ごとに割り出したものです。ドイツが3月16日、スイスは2月22日、オーストリアが2月25日、そして日本は5月6日だそうです!男性の1日の賃金を100とすると、女性は74.3しかないことになります。賃金の低さは年金にも反映されるため、高齢女性の貧困問題にもつながっています。コロナ禍でもこの不平等が女性に与える打撃は深刻な問題として浮き彫りになっています。

女性差別撤廃条約の選択議定書に批准を!
こういったジェンダー不平等社会を変えていくのに、女性差別撤廃条約の選択議定書への批准が重要な鍵を握っています。条約そのものは1979年に国連で採択され、日本も1980年に署名しました。しかし条約ができて20年経った頃、条約だけでは女性差別撤廃の実効性を上げるには不十分だとの認識が強まりました。そこで選択議定書が国連で採択され、114か国が批准しました。しかし、日本はまだ批准していません。

選択議定書は女性を守る盾
この選択議定書では女性を人権侵害から守るための具体的な制度が定められています。その一つに「個人通報制度」があります。国内で最高裁まで争って判決が出たものについても、人権侵害への救済を求めることができます。国際条約というと遠いところのことのように感じますが、この議定書に批准することで、女性が日常の中で直面する人権侵害に対する救済の道が増えるのです。

声を上げよう!
そのため、朝倉さんは、市民から、地方議会から、選択議定書への批准を国に求めることには大きな意味があると言います。

2020年12月の調布市議会第四回定例会では、生活者ネットワークから「女性差別撤廃条約選択議定書の批准に向けた環境整備を求める意見書」を提案し、賛成多数で可決、国に意見書を上げることができました。その際、より多くの賛成を得るために他の会派と文言調整を図りましたが、朝倉さんからもそのような形でとにかく意見書を上げていくことが重要だと評価をいただきました。

差別意識は誰の中にもある
女性の差別撤廃が目指す社会は、決して男性が損をする社会ではありません。また、無意識に抱いていた差別意識に気づいても、自分を否定する必要はないと思います。女性差別は、女性の中にも存在します。私自身も女性に対して差別意識があること、そういった意識に基づいて自分自身をおとしめていることに気づくことがあります。

しかし、自分の中にある差別意識を認識することで、人が少しずつでも変われば、人間関係が変わり、人権がより大切にされる誰にでも優しい社会に近づけるのではないでしょうか。朝倉さんのお話を伺って、意見書に賛成をいただけなかった会派とも、粘り強く議論を重ねていきたいと思いました。

女性差別撤廃条約実現アクションのHPでは、調布市議会の意見書も紹介されていました。

画像は女性差別撤廃条約実現アクションのHPからお借りしました。