成人になられた皆さんへ
まずは、成人おめでとうございます。
昨年末から東京はコロナの第三波に襲われ、慌ただしく年末年始に予定されていた行事が中止になりました。調布市ではその中に成人式も含まれていたことは、皆さんもご存知だったと思います。日に日に増加する感染者数だけでなく、年始に向けて念のためにと年末にPCR検査を受けた人が増えた結果、感染者数が急増したことで、無症状の感染者がかなりいることが判明したこともまた、第三波が昨年の緊急事態宣言の時よりも深刻だということを表しています。
こういう状況の中、果たして成人式を中止にすることが100%正解だったかどうかは誰にも分かりませんが、調布市は感染リスクを軽減する道を選び、心苦しく思いながらも中止の判断を下し、皆さんに協力を求めました。誰もが可哀そうだと思いましたよ。「コロナが収まったら代わりに何かできるようにしよう」という声も議会の中ではすでに聞かれていました。
昨日の成人の日、私は仕事で調布駅前に行きました。グリーンホールでの成人式は中止になったはずでしたが、そこには振袖やスーツを着た成人の皆さんがたくさん集まっていました。13時半頃には300人以上が集まっていたとも聞いています。私がもっと驚いたのは、かなりの人たちがマスクもつけずに騒いでいたことです。
どうしてですか?
成人式の実行委員会の皆さんは時間をかけて準備をされていたでしょう。振袖やスーツも用意していたし、同級生と久しぶりに集まるのを楽しみにしていた。一生に一度のこと。それなのに・・・。色んな悔しい思いがあったことと思います。でも、皆さんには集まってほしくなかった。
私は大学4回生の卒業を間近に迎えた1月17日に阪神淡路大震災で被災しました。予定されていた卒業式後の謝恩会はキャンセルになりました。すでにお金は払っていたし、やろうと思えばできたのかも知れません。被災して家を失った私でさえ、謝恩会がキャンセルになることを残念に思いました。授業はすべてなくなって友だちにも会えずにいましたし、逃せば一生巡ってこないイベントができないのはとても寂しいと思いました。
しかし、「被災して家を失った人や家族を失った人が大勢いる時にパーティーはできない」これが大人が下した判断でした。世の中には色々な立場の人がいます。自分の行動が他の人の目にどう映るか?どんな影響を与えるのか?どんなメッセージを発信することになるのか?こういうことを客観的に考えて行動することの必要性を教えられたできごとでした。
昨日は祝日でしたが、駅前に集まってしまった皆さんに理解を求めるため、教育部の職員が何人も寒空の下、メガホンを手に皆さんに呼びかけていましたね。でも、誰一人として耳を貸そうとはしていませんでした。
今、東京は、日本は、世界は、コロナ禍で非常事態に襲われています。特に東京では緊急事態宣言が発令され、市役所はその対応に追われて毎日大変なんです。でも、皆さんが集まってしまったので、教育部長や次長を筆頭に、教育部の職員が何人も出勤していました。誰も風邪をひいたり、コロナに感染したりしなかったことを祈ります。そして、調布市内の小学生や中学生が安心して学びを続けるためにしなければならない多くの業務が滞らないことを祈ります。
災害は残酷なものです。多くの計画変更や忍耐を強いられます。成人式がコロナ禍とぶつかってしまったことは本当に可哀そうだと思います。でも、だからこそ、今しかできない、コロナもひっくるめて思い出に残る成人式を考えてみるとか、別の形の成人式ができないか市と交渉してみるとか、議員に意見を伝えてみるとか、駅前に無理やり集まる以外にもできる建設的なことを考えてみませんか?
市のHPでは毎日感染者数を発表しています。ご覧の通り、20代の感染者が多いのです。どうか確かな情報を入手して、自分でどうするべきかよく考えてください。まずは、何に納得ができずにみんなで集まったのか、どんな思いがあったのか、きちんと伝えませんか?もしかすると、一方的に「中止」を押しつけられて気持ちが宙ぶらりんになってしまったのかも知れませんね。
良かったら、このブログの「お問い合せ」でどんな思いがあったのか教えてください。そして、どんなことができれば納得できるのか、「大人」としての人生の一歩を気持ちよく踏み出せるのか、一緒に考えてみましょう。