男女共同参画の進展と課題とは?~その①~

婦選会館で開催されたジェンダー平等サロンに参加しました。講師は、元男女共同参画局長の武川恵子さんでした。

女性の人権運動は18世紀フランスにまでさかのぼり、すでに200年以上の歴史を刻んできたことになります。日本でも、世界の動きに呼応するように男女共同参画についての理解や取り組みが進められてきました。特に、男女共同参画基本法や基本計画が策定された1999年~2000年には家庭などの親密な人間関係にも公が介入することを可能にする法体制が進み、家庭や夫婦のプライベートな問題とされてきたDVなどの問題が表面化したことは、大きな進展と言えます。

しかし、日本では男女共同参画に関わる法体制が整うごとに、女性に対するバッシングも増えている悲しい現状があることが指摘されました。2020年のジェンダーギャップ指数が153ヶ国中121位という結果になったことは、多くの日本の女性に落胆と、一種の納得の感情を引き起こしているのではないでしょうか。

政治分野や企業の管理職などへの参画比率が非常に低いことがその大きな要因ですが、その背景には、そもそも家庭内での性差による役割分担の根深い問題が潜んでいます。女性の就業率は上がっているにもかかわらず、家庭内での家事分担は、おおよそ合計9時間のうち国際的には男女比が女性2:男性1のところ、日本では女性5:男性1くらいということです。最近は、お父さんが週末に子どもと遊んだり、平日に保育園に連れていく姿が増えてきたと感じていますが、それ以外の家事の分担はあまり進んでいないのかも知れません。

国としては、男性も育休を取りやすいように半年区切りにしたり、育休給付率を引き上げたりしていますが、実際に育休を取得した男性が家事に費やす時間が結局のところ大して増えない現実があります。男性の家事負担の少なさは、少子化の原因の一つにも挙げられるということで、男女ともにさらなる意識改革が必要です。