第二回定例会一般質問②~万全の熱中症対策で安全な運動会を~

次の質問に移ります。子どもたちの最善の利益を第一に考えた安全な運動会を。昨年7月は記録的な猛暑が日本を襲いました。校外学習後に熱中症で亡くなった豊田市の小学校1年生の男の子を含め、全国で1000人を超える方々が亡くなり、その暑さは災害レベルともいわれるものでした。今年の5月21日、気象庁気象研究所、東京大学大気海洋研究所、また国立環境研究所の研究チームは、昨年7月の猛暑は、地球温暖化と関連があるという研究結果を発表しました。

また、九州大学応用力学研究所教授の竹村俊彦さんのブログでは、東京都で気温観測が始まった1876年以来、5月に観測された最高気温の上位10日のうち、5日が2014年以降の6年間のものであることから、5月の異常高温は今後も起こり得ることが予測されると指摘されています。異常高温は真夏だけの問題ではないこと、また今後も頻度を高めながら継続していく可能性があるということが言えると思います。

調布市内でも今年の5月には真夏日を記録する日が続きました。そのうちの5月25日土曜日は、最高気温が30度を超えることが予報されていた中、市内の13の小学校で運動会が開催されました。

調布市は2005年に子ども条例を制定しており、その中で「子どもは、個性が認められ、自分らしく生きる権利をはじめ,個人の尊厳を持ったかけがえのない存在である」との認識を明記しています。さらに、調布市基本構想3章第2節の1には「子どもの安全を守り、健やかな成長を促す環境作りを進める」とあります。子どもたち一人一人の個性を尊重し、その安全で健やかな成長を可能にする環境を整える立場にある市として、子どもたちの命を守り、最善の利益を第一に考える観点から、5月25日の環境が運動会開催に適切であったのか、また十分な対応ができていたのか、この一般質問の中で検証し、子どもたちの最善の利益を一番に考えた安全な運動会作りにつなげていただきたいと思います。

5月半ば頃からの国内の異常高温をともなう気象状況と、熱中症事故についての情報を少しご紹介いたします。スクリーンもあわせてご覧ください。

5月17日には、福井県鯖江市の小学校で、運動会の練習中に熱中症の症状を訴えた児童29人が病院に搬送されました。この時の気温は28.1度でした。

また23日の午前中には、新潟県長岡市の小学校で運動会の練習中に児童26人が熱中症になり病院に搬送されました。長岡市の気温は24.2度でした。

調布市内でも、23日の防災・安全情報メールには、「当分の間、東京地方の日中の最高気温が28度以上に達すると予想される」とあり、「体が暑さに慣れていないため、熱中症に充分注意するように」と注意喚起が行われていました。

運動会練習中の熱中症事故のニュースが流れていたこともあり、前日の24日には、教育評論家の尾木直樹氏が、25日に各地で予定されている運動会に対して延期や中止の決断を呼びかけるなど、学校の一大イベントの一つである運動会についても、昨今の気候の変化に柔軟に対応する必要性を訴える声が上がっていました。

  • 今回の運動会における事前対応と結果状況の質問に移ります。

まず小項目の1つ目、運動会当日までの指導室、学校、家庭、地域の情報共有、連絡、連携について伺います。現在、学校だけで万全の暑さ対策をすることは非常に難しいと言わざるを得ません。テントはどの学校も高齢者と来賓の方の分しか所持しておりませんし、仮に借りられても風が強い日には使用できません。熱中症予防の徹底のためには、各家庭や地域への注意喚起や協力の呼びかけが不可欠ですし、準備の徹底のためには時間的な余裕も必要です。運動会の練習や運動会開催について、教育委員会と学校、そして地域や保護者の間では、熱中症予防についてどのような情報共有がなされ、どのようなタイミングで連絡、連携がとられていたのでしょうか。

次に、昨年の熱中症事故を受け、学務課から各校に暑さ指数計測器が配布されていたようですが、今回の運動会ではどのように運用されたのでしょうか。

3点目として、各校から運動会の練習期間、および25日の運動会における熱中症の報告がどれくらい入っているでしょうか。以上3点お答えください。

<再質問>

ご答弁ありがとうございます。再質問をさせていただきます。今回の運動会の熱中症予防について、事前に各校に指導をされていたお立場として、最終的に50数名の子どもたちが暑さによる体調不良を訴え、救急搬送された子どもも1名いたということに対しては、どのように総括され、次の運動会へと生かしていらっしゃるのでしょうか。

(1)のまとめ

ご答弁ありがとうございます。今回も熱中症ゼロを目指して指導をされたお立場にあるにも関わらず、これだけの多くの子どもたちが熱中症の症状を訴えることになったということに対して責任を感じられている様子が伝わってこないのは、子どもを学校に預けている保護者の立場としては、心もとない気持ちがするのではないかと思います。ぜひ今回のこの結果を重く受け止めていただきたいと思います。

いくつか要望を交えながら、少し長くなりますが、ここでいったんまとめさせていただきます。ご答弁の中にありました、5月9日の校長会での注意喚起には、大きく分けて2つの対応策が示されていました。1つは、運動会を実施する場合の具体的な熱中症予防について教職員への指導を徹底するように、という内容。もう1つは、運動会そのものを自粛したり、また時間や場所などを変更するといった管理職レベルの先生方にしか判断ができないものです。

これを踏まえて、23日、運動会の2日前に教育委員会から各校に入った連絡では、校長会での熱中症予防の内容を確認した上で、教職員に対して熱中症予防の取組を徹底するように、と書かれています。ここで、気温が30度を超えることが予測されていたにも関わらず、教育委員会から管理職の先生方に対して延期や時間短縮などの抜本的な暑さ対策も検討するようにと積極的に促されていないことに、疑問を感じます。よく言えば校長先生方の裁量に任せ、中立の立場からの指導をされたということなのかもしれませんが、私は、教育委員会に危機感が不足していたのではないかという印象を受けております。

そういった危機感の不足は、暑さ指数計測器の運用方法にも表れていると思われます。冒頭に紹介しました、鯖江市と長岡市の例をもう一度ご覧いただきたいので、スクリーンをご覧ください

鯖江市では気温が28.1℃、長岡市では24.2℃でした。さらに、環境省の熱中症予防情報サイトで暑さ指数のデータを洗い出してみました。鯖江市のデータはありませんので、近くの福井市のデータを参考までに出しております。熱中症事故が起きた時の鯖江市は、暑さ指数は22.5℃、輻射熱41.3℃でした。また23日11時頃の長岡市の暑さ指数は19.5℃、輻射熱39.4℃です。

ここで、簡単に暑さ指数の算出方法をご説明いたします。これが暑さ指数計測器です。

暑さ指数は、湿度を示す湿球温度、輻射熱を示す黒球温度、気温を示す乾球温度を使います。熱中症の発症には湿度がもっとも大きく影響することから、算出する場合は、湿球温度の値を7割、輻射熱を示す黒球温度の値を2割、そして気温を示す乾球温度の値が1割、という割合で計算に入れます。

さきほどのデータ比較表に戻りますと、鯖江市と長岡市、ともに気温と輻射熱は高かったようですが、湿度があまり高くなかったことから、暑さ指数は低めに出ております。日本スポーツ協会が出している熱中症予防運動指針に当てはめてみますと、

鯖江市の暑さ指数22.5℃は「注意」、長岡市の19.5℃に至っては「ほぼ安全」レベルです。それでも軽度とは言え、30名近くの児童が熱中症の症状を訴えて救急搬送されたということです。

さて、調布市の気象状況も追ってみたいと思います。気温は調布市のものですが、調布市には暑さ指数計測地点がありませんので、府中市の午前11時頃のデータを出しています。23日から順を追って見ていただくと、運動会当日は、気温29.4、暑さ指数22.6、輻射熱は43.8でした。運動会前日24日には長岡市の暑さ指数や輻射熱を超え、当日は鯖江市、長岡市のどちらの数値も優に超えていたことがお分かりいただけると思います。

さて、市内の小学校で安全の判断基準として使われていた数値は31℃です。

これは「原則運動中止」レベルとされている数値です。湿球温度の値が低い中、暑さ指数が31℃まで上がるには、気温や輻射熱がかなり高くないとここまでの数値になりません。参考までに、原則運動中止レベルの基準となっている気温(乾球温度)は35℃です。

5月25日は朝から乾燥注意報が出ていましたので、(暑さ指数が低めに出るので)そもそもこの暑さ指数31度という数字が基準として機能するものなのか、再検討が必要だと思います。また、過去の熱中症事故の事例などももっと危機感を持って細かく検証していただくことで、暑さ指数計測器のより有効な活用が可能になるのではないかと思います。

今回、暑さ指数31度と言う数値は、ほぼ基準としては機能しなかったと思いますが、それ以外にも子供たちの様子も見ながら安全かどうかを判断されたというお答えをいただきました。では、この時の子どもの様子とは何でしょうか?つまり熱中症になりかけとか、熱中症の症状を訴える子どもが出て、さらにその数が増えてきたら危険だと判断すると言うことではないでしょうか。それは、熱中症ゼロを目指すということと矛盾していると思われます。

もう一点ですが、今回、ほとんどの学校が教育委員会からの指導を受けて、運動会前日の24日に家庭にプリントを配布しました。学童に通う子どもたちなどは、保護者にそのプリントを手渡したのは夕方遅くになってから、場合によっては夜になってからの可能性も考えられます。保護者の手に渡らなかったケースもあるかもしれません。そこには、普段は許可されていないスポーツ飲料やネッククーラーの使用許可が記載されていたものもありましたが、準備が間に合わなかった家庭も多かったことが想像されます。また子どもによって暑さへの耐久力も異なります。運動会だから特別に許可をするというのではなく、日ごろから、子どもの暑さへの耐久力や体調、気温などに合わせて、各家庭である程度柔軟に熱中症予防の対策ができるような態勢作りをしていくこともご検討いただきたいと思います。

では、次の中項目の質問に移ります。(2)子どもたちの安全を最優先に考えた運動会にするために。

まず1点目です。環境省によりますと、子どもは大人よりも地面に近いところにいるため、地面からの輻射熱の影響を多く受けることや、幼い子どもは汗腺が少なく、熱を調整する機能が未発達なため、大人よりも熱中症になりやすいことが指摘されています。こういった子どもの体の発達について、学校の先生方はどれくらいの頻度で知識を更新されているのでしょうか?また、小学生とは言っても1年生と6年生では体の機能がかなり異なると思われますが、何年生くらいの子どもたちを基準に安全面について検討されるのでしょうか。

2点目です。熱中症予防には、暑さ指数以外にもさまざまな要素を合わせて考える必要があります。子どもの体の発達具合、また5月はまだ体が暑さに慣れていないことや、練習ですでに体が疲労をためた状態で当日を迎えていること、子どもによっては寝不足であったり、朝食をしっかり取れていないことなども熱中症を引き起こす原因として考えられます。管理職の先生方には、5月の運動会実施の是非を判断する際の基準について、暑さに対しては最大の危機感をもって議論していただき、そこでの情報を共有していただきたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

 

【まとめ】

ご答弁ありがとうございました。先ほども申し上げましたが、暑さ指数計測器の有効活用、つまり基準値の設定については改善が求められます。また、今ご答弁いただけませんでしたが、すべての子どもたちの安全を守り、熱中症ゼロを実現するには、一番暑さに弱いと思われる1年生を基準にしていただきたいと思います。

私も息子がお世話になっている小学校で、練習期間から様子を拝見し、また運動会にも参りました。当日は、あまりの暑さに、これは子どもたちの置かれている状況を体感しておきたいと思い、日陰に入らずに水まきをして過ごしました。子どもたちが仕切りに水をかけてほしいと要求してきましたので、競技と競技の間のタイミングで頭から水をかけてやりました。30分ほどすると私自身、頭がぼーっとしてきて、1時間ほど経つ頃には危険を感じて陰で休みました。朝10時半のことです。急遽、地域の方がテントを手配した学校もいくつもありました。幸い風が少なかったことから、絶大な効果がありました。しかし、水を撒いても撒いても、運動場は焼け石に水を絵にかいたような状況でした。競技を行う運動場はラインが消えるからでしょうか、スプリンクラーが使われない学校も多かったようですが、競技によっては子どもたちははだしでした。保護者は児童席には入ってはいけないことになっていましたが、子どものことを心配した保護者が乗り込んでいって飲み物を補充したり、また退場門で子どもにアプローチするなど、事前準備に加えて、数多くの臨機応変な対応が現場で行われたのが現状です。そもそもこれほどの厳重な体制を整えなければ安心して運動会を開催することができなく、しかも熱中症になった子どもが50名も出るほどの異常高温は、今後、荒天の範疇に加えることも検討していく必要があると考えます。

また、春は越境大気汚染の影響を受けやすい時期で、そういう意味でも注意が必要です。スクリーンをご覧ください。

東京都の光化学スモッグ情報のサイトによりますと、光化学オキシダントの最高濃度は、深大寺南町で、運動会前日の24日に0.107ppmまで上がっていました。さらに運動会当日の25日には0.126ppmに達しておりました。0.12ppm以上というのが注意報発令の基準ですので、運動会当日の閉会式の少し前には、注意報発令のレベルに達していたことになります。

今回こちらを確認されていたかどうかは存じ上げませんが、今後春に運動会を開催される際は、チェックをお願いしたいと思います。

調布市子ども条例全文冒頭には、「子どもは調布の宝」と書かれています。また、子どもの権利条約には、子どもには生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利の4つの権利があるとうたわれています。この4つの柱に照らし合わせて運動会について考える時、何よりも市の宝である子どもたちの命が守られ、健やかな成長が保障され、そして危険から守られることの徹底が必要であるということが言えます。今後、新指導要領に合わせて運動会のあり方についても再検討していかれることと思いますが、運動会にどれほど素晴らしい教育的価値が付加されるとしても、子どもたちの安全が最優先されなければならないという認識を強く持って臨んでいただきたいと思います。

また、子どもの権利条約の4つの柱の最後の権利、子どもたちの参加する権利も今後の運動会について検討される中で保障できるよう、お覚えいただきたいと思います。新しい教育指導要領の指針は「主体的、対話的、深い学び」です。運動会の種目や参加の仕方を含め、運動会のあり方についても、主役である子どもたち自身が主体的に考え、対話を通して作っていく機会を作っていくことも、子どもたちの最善の利益につながると考えます。運動が苦手な子も、発達障害などで大きな集団で一斉に行動することに抵抗を感じる子も、大きな音や声援が苦痛に感じる子も、難聴のために音楽のリズムに合わせることが難しい子も、暑さに弱い体質の子も、それぞれのそういった個性が尊重され、主体的に取り組み、学ぶことができる楽しい運動会が調布市内で行われることを願っています。

何よりも子どもたちの安全を第一に、その上で、子どもたちの権利が保障され、新指導要領の指針にもかなった運動会をぜひ来年の開催まで、現場の先生方や子どもたちの声にも耳を傾けながら、しっかりと議論に乗せていただくことを要望して、私の質問を終わります。