オブザーバーについて
2019年に調布市議会に送り出していただいてから4年弱が経過しました。現在、調布市議会では28名の議員が9つの会派に分かれており、そのうち4名は一人会派です。2名以上の議員で構成される複数会派が5つ、一人会派が4つということになります。
調布市議会では複数会派を「交渉会派」と呼び、一人会派を「単数会派」と呼びます。その唯一の違いは、議会の運営について話し合う議会運営委員会での議決権の有無です。一人会派はオブザーバーとしての出席のため議決権がありません。ただし調布市議会でのオブザーバーの扱いは特徴的で、委員会でも「発言はできる」(=「意見を言う」)ことになっています。
実は、私が質問をしてしまった場面がありました。ある委員からの提案について、本来ならば委員会で協議するべきところ、委員長が「協議のため休憩に入ります」と発言し、その後長い休憩があったことがありました。そこで何のための休憩だったのか、といった質問をしたのでした。
もちろん、委員長が「オブザーバーは質問できないので意見に留めるように」と言って仕切ってくださっても良かったのですが、質問に対して返答されたため「オブザーバーが質問する」ということが新たな先例となると問題視されました。瞬発力が求められる場面でもできるだけ手を挙げ、発言する習慣をつけるように努力をしてきたのですが、それが裏目に出てしまうこととなりました。
このことを受け、昨年11月の議会運営委員会で、オブザーバーの発言について整理をして明文化をするべきだとの提案が自民党会派の代表者から出されました。市議会には「先例・申し合わせ事項」という、規則以外の慣習に基づいたルールがたくさんあり、その中に「単数会派は、オブザーバーとして出席することができる。」という部分があります。そこに追記をするべきだとの提案でした。
日を改めて議会運営委員会で話し合われ、複数会派による議決を経て、「なお、発言については、委員長から求められた場合,意見を述べることができる。」という文言が追加されました。
実は、これまでもオブザーバーが発言をするには委員長の許可が必要でした。しかし、慣例として(委員長が忘れない限り)オブザーバーにも発言の機会がありました。多様な意見を出し合う環境を守ってきたことは、調布市議会の議会運営委員会が民主主義的な運営を心がけてきたことの表れでした。また、調布市議会は規則などよりも先例を非常に重んじる議会でもあります。
しかし、それまで長く守ってきた先例を崩して「なお、発言については、委員長から求められた場合,意見を述べることができる。」ことが明文化されることになりました。私が危機感を覚えているのは、これを議決する場面でオブザーバーに意見を述べる機会がなかったことです。この委員会以降、オブザーバーが意見を述べたい場合は、議会運営委員会の前に委員長に申し出をしなければならないことになりました。
調布市議会では2016年ごろに議会改革検討代表者会議を立ち上げ、議会改革が進められました。議会改革の代表者会議では一人会派の扱いについてもかなり議論がありましたが、会議には一人会派の議員も委員として入っていました。そうして多様性を尊重する議会改革が進められてきたのですが、今回は、一人会派の発言についての取り決めをするにもかかわらず、一人会派に議決権がない委員会で議論がされ、一人会派に発言の機会もなく、まさに当事者抜きの議論で決定がされてしまいました。
こういうことが当たり前にならないようにするためにも、「民主主義は多数決だ」という誤った認識を改めていかなければなりません。また私自身も、議会基本条例をはじめとした議会のルールをもっと身につけていかなければならないと感じています。