調布市議会でのオブザーバーについて

調布市議会ではH23〜25年に議会改革検討代表者会議を設置し、一人会派の議員も含めた委員で33回の会議を積み重ね、議会改革に取り組んだ歴史があります。その議事録は市議会HPでも公開されています。今のオンライン中継などもその中で実現してきた取組みで、市民に開かれた議会として調布市議会を大きく前進させた画期的な取組みでした。今でも全国から多くの議会が議会改革の参考にと視察に訪れています。

そのような調布市議会の大きな特徴の一つに、一人でも会派として認めているということがあります。一人の場合は「会派なし」としている議会も多いのが現状です。調布市議会がさらに進んでいる点は、一人会派が議会運営委員会や幹事長会議(各会派の代表者の会議)にオブザーバーとしての出席が認められていることと、そのオブザーバーの扱いです。

調布市議会では、オブザーバーには議決権はありませんが、議会運営委員会でも発言ができるという運営をしてきています。一人会派をオブザーバーとして認めている他の議会でも、座って聞いているだけの文字通りのオブザーバー、また会派を組まない他の議員への連絡係として傍聴のみが許されているオブザーバーといった例が多いようです。

一人でも会派として認められ、またオブザーバーとして発言ができるのは、民主主義的な運営が非常に進んでいる議会だということを示しています。実際の議会運営委員会では、複数会派が意見を述べ議論を交わした後、一人会派にも発言の機会があり、多様な意見が委員会の場に出されることとなります。(ただし議決権はありません。)

しかし今、議会運営委員会ではオブザーバーの発言に対して一定のルールを明文化しようという提案が複数会派から出され、議論が始まったところです。前回の議会改革は、一人会派も含めたメンバーで2年にわたり十分な議論が尽くされ、そのプロセス自体が民主主義を体現したものとなっていました。しかし今回の件は、オブザーバーとなっている一人会派には議決権がない議会運営委員会の中で決定がなされていく流れとなっています。全国的にも、また調布市議会でも一人会派は増加傾向にあり、このような議論の進め方で決定がされることそのものが議会の民主主義の後退ではないかと懸念されます。

議会改革の中で作り上げてきた議会基本条例に照らし合わせ、新たな取り決めの方向性や妥当性について十分な議論がされていくこと、議論の中では一人会派の意見が十分に聞き入れられることが、これまでの議会改革の流れに沿って、さらに調布市議会を市民に開き、民主主義を前進させるために必要です。

議会は実にさまざまで、デジタル化を含め、新しいチャレンジで民主主義のグレードアップに積極的に取り組む議会もあれば、秘密会など傍聴者を入れない場所で重要な取り決めをする議会もあるようです。調布市議会が前者の道を選べるように。少なくとも後者の道は決して選ばないように。市民が納得できるよう、十分な議論が尽くされることを望みます。


(写真は先日の議会報告会の録画撮影の日に撮ったものです)