アフターコロナに期待する「公共」の復興とは 西谷修氏の講座に参加
調布市西部公民館の西部コミュニティカレッジ「コロナ禍の先に希望を求めて」に参加しました。
【対中か反中か?平和的外交とは】
お話は、ヨーロッパの歴史や思想から、「新しい西洋」として世界に台頭したアメリカ、そのアメリカが進めてきた新自由主義社会、アメリカをしのぐ勢いで成長する中国、二国の影響下という視点で見る香港や台湾の民主運動、新型コロナウイルス、ワーカーズコープと多岐に渡りました。
お話の中で、日本は冷戦後、アメリカ追従では立ち行かなくなることを認め、東アジア各国との関係、共中関係を築くべきだったところ、実際はアメリカに頼り、反中政策ばかりを進めている問題点が指摘されました。
第一回定例会では、自民党から「中華人民共和国の海警法施行に対する適切な対応を政府に求める意見書」が提案され、市議会としては可決されましたが、生活者ネットワークは反対をしました。もちろん、今の中国の強硬な態度は国際的にも容認できません。ただ、9条の精神を守ってきた日本としては、領土問題についても争いの土俵に安易に乗るべきではないとの、憲法と平和を重視する立場からの決断でした。西谷氏のお話からは、主権国家として他国との友好関係をどう作るか、という問題に向き合うことの重要性を示されました。挑発に乗り、武力に頼ることは簡単ですが、そこから友好関係は生まれないでしょう。
【ワーカーズコープに見る希望】
労働は「神からの罰として義務化されたもので、働かなくてよいことが極楽」という西洋における認識に対し、働くことは生きる喜びであり、自発的な欲求だとの考え方があります。後者の考え方にもとづいて設立されているのが、協働労働者組合、人に雇われるのではなく、自分たちの生活に必要なことを仕事にして賃金を得る、ワーカーズコープです。
例えば、高齢者介護や障がい者介護、学童など、必要としている人たちが、自分たちで事業内容も働き方もすべて決め、共同で運営します。障がいのある人もうつ病の人も、みんな加わり、それぞれに合った働き方を作り出します。日本でも実践例が増えており、そのような働き方を後押しする労働者協同組合法も成立しました。大きな世界の動きの中で今の日本の縮小する公共、押しつけられる自助を客観的に捉えた時、西谷氏が言っていたように、誰もが雇用者でも労働者でもなく、協働者として「力のなさを力にして」主体的な自助の力で公共を取り戻し、社会を立て直していく動きが生まれていることは希望だと思いました。
コロナ禍の不安の中で「どうなっていくのだろう」と考えがちですが、「私たちはどうしたいか」と考え、行動することを大切にしていきたいものです。