【留保地⑧】森が消える

ご覧のように、一時期資材置き場として使っていた一部を除いて、留保地には50年以上かけて育った木々が生い茂っています。

(Google Earthの画像から木下が作成)

2008年の利用計画を策定した時にも、この自然をできるだけ残してほしいという市民意見が非常に多かったようです。私自身もここを頻繁に通りますが、近隣の方は口をそろえて、このままにしておいてほしいとおっしゃいます。

一方、利用計画もここに「防災・スポーツレクリエーション機能を有する公園」を設置するものでしたので、一部は木を伐採して平地にする必要がありました。しかし、多くの市民から寄せられた意見を反映するために、5つの基本的な考え方の2つ目を「既存の樹木の有効活用及び緑の保全に配慮したゾーニング」と定めました。

これは2006年に財務省が実施した毎木調査で直径20cm以上の樹木をプロットしたものです。市の利用計画にあります。大きい丸が約140、小さい丸が約30あります。こうした樹木をできるだけ残すため、敷地の中で樹木が比較的少なかった北側に運動施設を配置することにしたようです。

(「調布基地跡地留保地利用計画」より)

分かりにくいですが、当時の計画平面図を見ると、北側の運動施設などの設置のために70本くらい木を伐採し、新たに30本程度植樹する計画になっています。

(調布基地跡地留保地計画平面図より)

さて、この頃からさらに15年以上が経過し、樹木はさらに成長しました。2024年に行われた自然環境調査の結果からも森の成長がうかがえます。直径30cm以上の樹木が259本もあり、うち樹高15mを超える大木は200本を超えます。中には直径が1mを超える巨木もあります。

今回の基本計画にも既存樹木を活用すると記載されていますが、これらの樹木はどれくらい残るでしょうか。基本計画の施設配置図に運動施設はオレンジ、広場は緑の色をつけ、そこに259本の大径木をプロットしてみました。

(調布基地跡地留保地施設整備基本計画施設配置図および自然環境調査大径木調査をもとに木下が作成)

運動施設はきちんと地面が平らになっている必要がありますので、根が邪魔をする樹木は残すことができません。伐採、伐根を免れることができる木は20本もなさそうです。前の利用計画では残すことになっていた南側の木々も、人工芝グラウンドとテニスコートを整備することで、ほとんど消えてしまいます。多くの野鳥の声が消え、タヌキやハクビシンも姿を消すでしょう。

この周辺では、武蔵野の森公園の西町サッカーグラウンドもありますし、アミノバイタルフィールド側や味の素スタジアム内にも色々な運動施設があります。今後のことは未定ですが、現在、暫定利用中の基地跡地運動場の敷地もあります。まだまだ活用できそうな施設がすでにたくさんある中、400本、500本もの樹木を根こそぎにする必要が本当にあるのでしょうか。