【留保地⑤】あまりに不透明なプロセス

調布基地跡地留保地施設整備の計画は、数々の問題を孕んでいますが、その一つである不透明なプロセスについて書きたいと思います。

通常、例えばグリーンホールや学校の校舎のような大きな公共施設を作るときには、行政が課題を整理したり、関係者を中心にヒアリングをしたりして基本構想の叩き台を作ります。

それをもとに、市民委員や有識者、関係者などで構成する委員会での議論を行い、基本構想を作ります。時には並行してアンケートやワークショップを行い、最終的にはパブリックコメントで意見募集するなど、さまざまな形で市民意見を吸い上げ、練り上げていきます。基本構想ができたら、さらに具体的なことを盛り込んだ基本計画をまた1年ほどかけて策定します。基本計画策定の時にもまた、市民委員を含む委員会を設置したり、市民意見を集め、集約します。

留保地の2008年の利用計画を作るときには、4年かけてこうしたプロセスを踏みました。こうしたプロセスは、調布市自身が「市民が主役のまちづくり」を実現するために継続して取り組んできた市民参加の実践の積み重ねの中で培われてきたものです。

一方、今回の留保地の計画のプロセスは、2023年(のいつ頃かも公表されない)にFC東京が市に対して練習場移転を打診したところから始まります。その後、約1年半の間に市とFC東京で何らかの協議を重ね、2025年6月にFC東京が提案書を市に提出しています。FC東京が主体的に提案してきたような形になっていますが、市もこの提案の作成に関わってきたと思われます。

そして市は、もともとは市民が使う運動施設や自然広場を計画していた土地にFC東京の練習場を設置するということに対して、市民の声を何も聞かないまま、提案をほぼ丸呑みしたような「市の基本的な考え方」を2ヶ月後の8月に公表しています。

「市の基本的な考え方」がもともとの2008年の利用計画を踏襲していれば、20年前のものとは言え、それでも市民意見を反映させた計画だと言えるかもしれません。しかし2つを見比べてみると、考え方も施設配置も大きく変わってしまっています。最大の違いは、2008年利用計画では運動施設の面積は全体の半分未満ですが、今回の計画では明らかに半分を超えています。駐車場やクラブハウスなど建物も設置されるため、「広場」と呼べるスペースは非常に狭くなってしまっていますし、樹木はほとんど残りません。市は「(2008年の)利用計画を実現する計画」と言っていますが、内実を伴わない説明です。

8月に「市の基本的な考え方」を公表後、オープンハウスを富士見地域福祉センターで2回開催し、アンケートを取りました。が、そこで出た意見を反映するわけでもなく、2ヶ月後の10月半ばには基本計画の素案を公表しました。素案についてのオープンハウス2回は、再び富士見地域福祉センターと西町公園のみで開催。11月半ばまでひと月行われたパブリックコメントでは、44人から135件の意見が出ましたが、それらを反映するわけでもなく、締切の6日後に基本計画(案)を公表しています。

そして、第4回定例会開会日の前日に調布飛行場等対策特別委員会を開催、定例会中に基本設計費を追加議案として上程、その補正予算を審査する委員会の前日に基本計画を公表と、どれをとっても前代未聞の強引なスケジュールで進めてきました。

この間の審査でわかってきたことの一つは、2024、25年度にこの計画に関連する予算を計上していたにもかかわらず、予算審査に当たってこの計画のことを議会にまったく説明していなかったことです。2025年度は「市政経営の概要」(予算書の補助資料)に項目だけ記載がありますが、これでは、とても説明責任を果たしたとは言えません。

なぜここまで急ぐのかは、FC東京の事情のようです。2028年に留保地の整備を終えて使い始めるという想定スケジュールは、8月に初めて市民に公表されてから変わりません。

しかし、留保地は調布市が財務省から都市公園を設置するために購入する以上、整備される施設は公共施設です。利用者である市民とともに考え、さまざまな情報を共有しながら練り上げていくのがあるべきプロセスです。市民に知らせる前にFC東京が大々的に観客に公表したり、予算を使っているのに計画の説明がまったくされていなかったり、FC東京と協働で計画を進めようとしていることを発表直前まで市民に知らせなかったりした今回のプロセスは、行政に対する信頼を大きく損なうものです。

この計画の実行に要する経費は、そもそも今の基本計画を作る時には想定していなかったため、余分な出費となり、他の施策を圧迫することになります。このような進め方が許されるのであれば、計画行政も議会も市民参加も必要ないということになってしまいます。

民主主義はプロセスが命です。そのプロセスを軽視したこの計画をこのまま進めれば、調布市の民主主義を根底から崩すことになりかねません。結果的にFC東京の練習場が留保地の半分を占めることになるとしても、きちんと踏むべきプロセスを踏むべきです。