みんなの森特別緑地保全地区の管理計画を作っています

7月18日、緑ヶ丘にあるみんなの森特別緑地保全地区の観察会と意見交換会に参加しました。みんなの森は地元の方のご好意で仲よし広場として開放され、子どもたちにも親しまれてきた場所です。良好な自然環境が残されているため、市が特別緑地保全地区に指定し、管理計画を策定するために意見交換会を重ねているところです。

2020年から四季を通じて行われた動植物調査では、植物274種、昆虫類91種、鳥類10種などが確認されています。特定外来生物も若干見つかってはいるものの、キンラン、ギンランやニホンカナヘビをはじめとした在来種も確認されています。1年で卵から成虫になるカブトムシに対し、3~8年かけて成長するクワガタムシが生息するには安定した環境が必要だということですが、みんなの森ではノコギリクワガタも確認されているようです。

大きく成長した木々の中に、茶色く色が変わった葉が見えます。今調布市内でも広がっているナラ枯れです。

ナラ枯れはカシノナガキクイムシが病原菌を運ぶことで広がるそうです。キクイムシが穴を開けた後の木くずやフンが混ざったフラスが木の根元溜まっているのが分かります。

樹木にはクヌギやコナラ、アカマツといった陽樹と、シイやカシのような陰樹があります。陽樹は人が手を入れないと光が差し込まなくなるので育たなくなります。そのため、上を見上げた時に光が差し込む「ギャップ」があることが重要です。(…と講師の先生に教わりました。)

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャップの下にはこのように光が差し込んでいて、キンランやギンランが生えていました。

見えにくいですが、中央にキンランかギンラン(どちらか見分けがつかず)が生えています。

宅地化が進む調布市では、今ある緑地は貴重な緑資源です。一方、雑木林の管理には、下草刈り、落ち葉かき、枝打ち、枯れ木の撤去など、手間も費用もかかります。市民と行政で分担しながら保全していく必要があり、10~20年も経てば大人になる今の子どもたちが自然に親しむ機会を増やすことも長期的に見ると重要な要素です。参加者からは子どもたちが訪れ、遊びながら学べる環境も残しておきたいという意見もありました。

落ち葉を踏んだ時のガサガサいう音、濡れた地面のヌルヌルした感触、木陰のひんやりとした空気、人知れず繰り返される小さな生き物たちの営みを感じることができる貴重な場所です。保全に関わる市民と子どもも含めた利用者、近隣の方々、行政などがしっかりとコミュニケーションを取り、信頼関係を築けるような管理運営を望みます。

今後のスケジュールは下記の通りです。

9月5日(土)保全管理計画策定に向けた意見交換会(ワークショップ)
11月21日(日)保全管理計画(素案)の説明および意見交換会
12月19日(日)保全管理計画(案)の説明会