2021年 市長の基本的施策に対する代表質問

第一回定例会では、市長から新年度に向けた所信表明として基本的施策が示されます。生活者ネットワークもそれに対して代表質問をおこないました。感染症拡大防止のため、今回は代表質問の持ち時間を基本時間と人数当たりの追加時間のそれぞれについて短縮することになりました。生活者ネットワークは一人会派のため、基本時間の20分のみとなり、例年の25分からさらに5分短縮される厳しい時間制限の中ではありましたが、以下の12点について質問をおこないました。

◆男女共同参画推進
コロナ禍で顕著となっている日本のジェンダー不平等の問題は、東京オリンピック・パラリンピック大会前組織委員長の発言にも象徴された。ジェンダー平等を理念の一つに掲げる東京2020大会を迎える街として、男女共同参画社会に向けた力強い取組みを求める。

◆コロナ禍における市民の生活実態に即した予算編成
新型コロナウイルスの影響で市税収入などが大幅に減少する見込みであり、例年以上に何を最優先した予算編成なのかが市民に明らかに見えることが重要。「真に必要な取組み」を見極めるためにも生活実態調査を行い、市民生活の実態に即した予算編成につなげるべき。

◆SDGsの視点
SDGs(2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標)の「誰一人取り残さない社会」実現に向けた意識醸成は、庁内でどのように実践されているのか。

◆外環道トンネル工事の陥没事故と近隣住民への対応
責任の大元は事業者にあるとは言え、市は地質等についての情報を持ち、近隣住民の声を継続して聞いてきた。被害住民の不安や危機感に共感し十分に寄り添うべき。今後の対応は。

◆新しい市民参加手法の展望について
オンライン形式を取り入れた新しい市民参加手法を今後の大型公共施設の更新や次期総合計画策定に生かし、多様な市民、子どもや若者の声を積極的に聞き、活気あるまちづくりにつなげることを求める。

◆市民活動との連携で市民生活支援の充実を
コロナ禍の1年、行政と各市民団体で形成される子ども・若者支援地域ネットワーク内の連携も生かされ、市民活動と行政の新しい連携による生活支援が実現した。今後も各市民団体と情報共有や意見交換を丁寧に行い、可能な支援を継続するよう求める。

◆生活保護捕捉率を上げる対応で生活支援を
生活保護は、窓口対応や家族の扶養照会を理由に申請を諦める人が非常に多く、日本の生活保護捕捉率(受給条件を満たしている人のうち実際に受給に繋がっている人の率)は2割程度。生活保護の目的に立って柔軟に対応し捕捉率を上げることが、コロナ後の社会のスムーズな安定化に繋がる。市の考えと今後の対応方針は。

◆共生社会の理念が市民に伝わるような取組みを
市の各支援施策は評価。しかし、未来への展望を考えると、就学後に子どもたちは特性によって教育と福祉の垣根で分けられるなど、インクルーシブな真の共生社会構築への展望は見通せない。パラリンピック開催の機会をどのように今後の共生社会作りに活用するのか。総合福祉センターの調布駅前から多摩川への移転と、パラハートちょうふの理念との整合性は。

◆コロナ禍の地域住民との協働による地域包括ケアの展望は
2018年に施行された地域包括ケアシステム強化のための介護保険法改正では、地域共生社会構築に向けた取り組みとして地域住民と行政等の協働による支援体制づくりが掲げられている。コロナ禍にあって地域や住民の実態は見えにくくなっているが、地域住民との協働をどのように進めるのか。

◆ゼロカーボンを目指す自治体として積極的かつ具体的な取組みを
3月5日の午後にゼロカーボンシティ宣言を実施した(※)市の前向きな姿勢と行動力を高く評価。目的達成には他の自治体との連携が必須。ゼロカーボン市区町村協議会にも参加し、具体的取組の情報共有や庁内でのより積極的な取組み、市民への啓発を求める。

※3月5日(金)、複数会派のゼロカーボンシティ宣言を求める代表質問に対し、答弁で「2050年までにゼロカーボン実現を目指す」旨が述べられました。それをもって環境省が地方自治体に求めている【表明】とみなされたため、午後に市HPでその報告が行われました。生活者ネットワークは週明け8日(月)に予定されていた代表質問で宣言を求める予定でしたが、3月5日の【表明】を【宣言】と思い、宣言が行われたことを前提とした質問に内容を変更しました。しかし、ゼロカーボンシティ宣言については【表明】と【宣言】は異なる行為を指すとのことで、結果的に変更後の質問内容と事実との間に齟齬が生じてしまいました。一連の混乱については3月8日午後に市長から弁明がなされましたが、時間をかけて作成、調整をした質問を急遽変更することになったことは残念でなりません。しかし、重要なのは表明・宣言ではなく、実効性ある具体的な取組みです。今後も、脱炭素社会実現に向け、市に強く働きかけていきます。

◆子どもの権利の視点にもとづいた子ども条例改定を
調布市子ども条例制定から17年。貧困、虐待、いじめ、性暴力、ヤングケアラーなど、子どもを取り巻く問題は深刻。国連子どもの権利条約は「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」の4つの柱からなる子どもの権利を提唱しているが、日本では概念が浸透しておらず、国連からくり返し勧告を受けている。調布市の子ども条例も子どもを権利の主体者として見る視点に欠けており、改定を求める。

◆子どもの声を尊重する教育を
一斉休校について子どもたちへの説明はなく、休校中の学校の対応には子どもの気持ちへの配慮に欠けるものも散見された。学校再開後、子どもたちはストレスや疲弊を訴え、不登校も増加しており、さまざまな決定が大人目線での重要事項を優先して行われていた問題を指摘せざるを得ない。コロナ禍を機会に、子どもを中心とした新しい学校生活や教育のあり方を見出していくために、子どもの意見を積極的に聞き、尊重する教育を求める。

 

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2021年代表質問本文