子どものことは子どもに聞こうー子どもオンブズパーソンについて

大田区で子どもの権利条例制定を目指して活動している「おおたっ子条例」を考える会主催のオンライン学習会に参加しました。講師の喜多明人さんは子どもの権利条約を推進して、これまでに色々な自治体の子ども権利条例の制定にかかわってこられた方です。

オンブズパーソンは学校で起きているいじめ問題などにも第三者の立場で介入し、子どもの声を直接聞きながら解決に導く弁護士などの司法専門家です。もちろん、子ども自身が直接相談をすることができます。国内でいじめによる自殺が多発した1994年、兵庫県川西市で日本初の子どもオンブズパーソン制度ができました。子どもアンケートで5%が「いじめられて辛い」と回答したことがきっかけだったと言います。

現在、児童虐待も増加していますが、児相の設置は必ずしも虐待問題の解決にはならない、行政が家庭に介入し親子を切り離す一時保護は最終手段であるべきだ、と喜多さんは主張します。理由として、一時保護所はどこもいっぱいな上、保護中の子どもたちは学校に通うこともできないため、一時保護が子どもの最善の利益にならないことが指摘されました。

いじめは、昨年10月の文科省の調査では総数61万件超、その3分の2は小学生が占め、特に2~3年生の件数が非常に多くなっています。一方、PTAでの活動経験がある方からは、学校でのいじめは「ありません」と学校から説明を受けていたという驚きの発言がありました。

昨年の一斉休校中には減少した子どもの自殺率は学校再開とともに増加しました。子ども自身が困りごとを信頼できる身近な大人に相談できるしくみが必要なのではないでしょうか。

都内では、目黒区、世田谷区、国立市、西東京市がすでに子どもオンブズパーソン制度を制定しており、武蔵野市と小金井市が準備中とのことです。調布市は2002年の比較的早い段階で子ども条例を制定していますが、子どもの権利の視点が十分に反映されているとは言い難い内容です。

昨年、調布・生活者ネットワークで行った保護者アンケートの回答からは、コロナ禍で心のケアを必要としている子どもたちの様子が浮かび上がってきました。日常的におしゃべりしたり遊んだりする自由が制限され、行事も中止。今しかない子ども時代に子どもの権利をしっかりと保障するためには、子どもを「守られるべき存在」というだけでなく、能動的に大人の協力者として認め、意見表明権を保障することが重要です。

困りごとを自分から相談し、権利擁護の視点で解決までのサポートを得られるオンブズパーソン制度を調布市でも導入できるよう、強く求めていきます。

イラストはユニセフのHPからお借りしました。
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