子どもの性教育は家庭から
8月1日、品川・生活者ネットワーク主催の「家庭で育つ性とは~親・保護者のための性教育~にzoom参加しました。講師は、幼児期からの性教育の必要性について著書も複数出されている村瀬幸浩さんです。
コロナ禍の中、望まない妊娠が増えているというニュースを私も目にしましたが、その中には近親者からの性暴力も含まれていて、相談件数は例年の1.5倍だということです。子どもの頃から正しく性について学ぶことの大切さが、今まで以上に求められています。
日本では当たり前のように学習指導要領があって、教科書は検定教科書が使われていますが、学習指導要領が国で一斉に決まっている国は実は珍しく、指導要領がない国もあるそうです。そういう国では教科書も学校ごとに任されていて、検定教科書がないところも多いとか。
そんな縛りが厳しい日本の学校での性教育では、例えば「思春期」は「男は女を、女は男に愛情を抱くようになる」と説明されていて、性の多様性が言われている世の中との大きなギャップを感じます。また、受精そのものは教えるものの、受精に至る過程は指導要領に含まれないので、教員に教える義務がないのが現状です。それならば、子どもたちは家庭にいる時間の方が長いのだから、家庭で教えるべきだというのが村瀬先生の主張されていることです。
性を知ることは前向きに生きていくことで、性についても主体的に知ることが大切だと言います。性暴力を回避するなどマイナスにならないために学ぶのではなく、生きている喜びに近づくということだけれど、日本では大人もそれができていないために夫婦関係も未熟だというご指摘でした。例えば女子校に比べると男子校の方が性教育は不十分なため、男性が月経の意味も分からないまま成長して結婚する。男性の性に無知な女性と、女性の性に無理解な男性が結婚して幸せになれるでしょうか?という問いかけは、とても重く響きました。
子どもは、初めて接するカップルであるお父さんとお母さんから性について学びます。月経や精通が始まる前の子どもの質問は、大人から見ると性的なものであっても、命にかかわるものであり、いやらしいことではないので、答えてあげると良いと言います。例えば、「どうしてお母さんから生まれたのにお父さんに似てるの?」「どうしてお母さんは立っておしっこしないの?」「僕はどこから生まれたの?」いずれも子どもの素朴な疑問です。そういう時は、「ここよ」と言えばいい。「見せて」と言われたら、見せられる人は見せてもいいし、見せたくない人は「それはお母さんプライベートパーツだから」と言えばいい。
性教育が進まない理由の一つに、性器と合体の部分の説明ができないことがあるそうです。まずは性器の説明ができると、先に進みやすくなります。私自身、息子に「どうやって生まれたの?」と聞かれたことがあります。不思議に思って当然だと思い普通に答えましたが、小学校低学年くらいだと、いやらしいとか恥ずかしいという感覚には結びつかないようで、いたく感心していました。
教育指導要領を変えるのはハードルが高い。子どもが成長するにつれ、性的な内容を特に異性の大人と共有することは難しくなる。それならば、小さい頃から家庭で伝えていくことが本当に大切だと思います。最近絵本も色々と出されています。調布も国領のあくろすに何冊も置いてあります。生きること、命の誕生につながる性の話をちゃんと伝えて、主体的に生きる力を育めるように家庭での性教育への啓発が望まれます。あくろすのみでなく、各図書館でもテーマとして取り上げると良い啓発になるのではないでしょうか。
(写真はあくろすのほっとすぺーす。男女共同参画推進課HPより拝借しました。写真の左奥のあたりに絵本が配架されています。)