【留保地⑩】条例改正や都市計画変更も必要ーこの計画は2008年利用計画を実現するか?
今回策定した基本計画には、「このたびFC東京から提案があった市との連携による施設整備に関する取組は利用計画を実現する」と書かれています。市民の立場から見た時に、今回の基本計画が2008年利用計画を実現する計画だと言えるのか、考えてみたいと思います。
繰り返しになりますが、2008年に市が策定した利用計画にはこのような施設配置が描かれています。
北側:サッカー場や多目的コート、テニスコートなどのスポーツ施設と多目的広場
南側:既存樹木をほぼそのまま残した自由広場

(出典:調布市調布基地跡地留保地利用計画)
この計画は、まだ武蔵野の森公園の運動施設がなかった20年前の事情や、市民の皆さんからの意見を反映させ、以下の5つの考え方にもとづいて策定されました。中でも②は多く寄せられた声を反映しています。
①立地の法的な位置付け,制限等を踏まえた活用
②既存の樹木の有効活用及び緑の保全に配慮したゾーニング
③調布市地域防災計画に基づく防災機能の設置と,災害発生時の活用に留意したゾーニング
④市全体のスポーツ施設配置の再検討を踏まえたスポーツ施設の整備
⑤隣接する西町公園・都立武蔵野の森公園との連携
一方、今回の基本計画の施設配置図がこちらです。(西町公園は留保地には含まれません。)
果たして、この計画は「2008年利用計画を実現する」のでしょうか?
基本計画では、南側までほぼ全面を運動施設が占める上に駐車場も設置するため、既存樹木はほとんど伐採、抜根されます。多くの市民の意見を反映させた②の考え方が踏襲されているとは言えないでしょう。
2008年利用計画にもとづいた作成されていた計画平面図(左)と、今回の基本計画の施設配置図(右)に大径木の場所をプロットしてみると、既存樹木をできるだけ活用する考えがほぼ消えてしまっていることが分かります。

(左:調布市基地跡地留保地利用計画にもとづいて作成された計画平面図、右:調布市調布基地跡地留保地施設配置に関する基本計画
それぞれをもとに2024年自然環境調査大径木調査を合わせて木下が作成)
また、市内の運動施設全体の再配置④については、利用計画策定後に市内では武蔵野の森公園に野球場やサッカー場が整備されていますので、事情が変わっています。にもかかわらずこれだけの運動施設を配置するということは、考え方そのものが変わったと言えるのではないでしょうか。
その証拠として、この計画を実現するには2つの大がかりな変更手続きが必要です。
まず、市の都市公園条例の改正が必要です。今の市の都市公園条例3条7では、公園面積に占める運動施設の割合の上限は「100分の50」、つまり半分となっています。2008年利用計画を策定する時には、この条例を遵守する考えでしたので、運動施設は北半分にとどまり、広場面積が広く取ってあります。しかし、新しい計画では運動施設が6割を超える可能性もあり、条例改正が必要です。(「運動施設」にはクラブハウスも含まれます。駐車場は含まれません。)
また、この計画を実行するには、都市計画変更も必要です。その大きな理由は、FC東京が主に使用するクラブハウスです。この建物の高さや中に作る予定の飲食店は、この土地の用途(第一種低層住居専用地域)では建設できないためです。(先日行われた都市計画変更に関するオープンハウスの資料)

(出典:2025年12月23日都市計画審議会資料「報告第3号公民連携による留保地整備について」)
こうした市のルールの変更や都市計画変更は、もともとの利用計画では必要のない手続きでした。これほどの大がかりな変更が必要なのですから、「市の事情や市民ニーズの変化も踏まえて、2008年利用計画の考え方を変えて新しい計画を作った」と説明するなら、賛成できる計画かどうかは別としても納得がいくのではないでしょうか。
それを、今回の基本計画は「利用計画を実現する」と説明してしまうところに、市の欺瞞があると思うのです。
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